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銅版画制作過程 [銅版画]

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蔵書票について「途中のものと比べて、随分変化している」とおっしゃっていただいたので、製作過程を少しご紹介します。
1.コピー用紙に2Hの鉛筆で下絵を描きます。これを防食剤を敷いた銅板に転写。
(下絵がちゃんと転写されているかドキドキします)
2.線描と点描を施して腐蝕。
(点々点々、地道な点打ち作業です)
3.背景部分を段落としに腐蝕してから、マーブリングを施して再び腐蝕。
(マーブリングは納得のいく模様ができるまで、何度でもやり直し。その度に腐蝕したくない部分の黒ニスを塗り直します)
4.人物部分にアクアチントを施し、部分により時間を変えつつ腐蝕。
(ここで、一度、画面が灰色に覆われます。折角の点打ち作業も見えなくなり、磨けば必ず白くなるとはいえ、いつも呆然としてしまいます)
5.アクアチントで灰色になった部分を磨いて濃淡をつける。
(ここれ以降、ほとんど腐蝕の作業が無くなるので、腐蝕液はしまってしまいます)
6.色の薄い部分にドライポイントを足す。
(これも根気のいる作業。ダイナミックに画面がかわることはありませんが、作品のイメージを決める大事な作業です)
7.雁皮刷りをして、調子を見ながら、磨いたりドライポイントを施したりして濃淡の調節。
(雁皮刷りをすると、細かい版の調子を拾ってくれるので、刷り上がりが格段に良くなります。普通の洋紙だけに刷る場合よりも、1.7倍くらい手間がかかりますが……)
8.完成。
(版は完成したとはいえ、メッキの依頼をしたり、蔵書票の場合は多量に刷る作業が残っています。刷り師さんにお願いしたいところですが……)

たいてい、10回程度の試し刷りを経て完成します。
腐蝕をする度に部分的に黒ニスでとめたりするので、試し刷りの回数よりも行程はもっと複雑。
根気の要る作業なのかもしれません。
私は楽しんでいますが。
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コメント 7

たるかす

おお~!!!
こうしていただくと、銅版画をやったことのない者でも過程がわかりやすいですね。
だからといってとてもまねできませんが(^^;)
なんといっても、「下絵を描きます」のたった7文字の部分が一般人にはできませんし。。。
おかしなたとえですが、生物が成長しながら、構造を複雑化していく過程に相通じるものを感じます。
種から花が開花し実を結ぶとか、卵から孵ったひなが毛並みを整えながら複雑な羽が揃い、優雅に飛べるようになっていくとか。
by たるかす (2008-05-21 02:24) 

高田美苗

>たるかすさん
銅版画(エッチング)は工程が複雑で、説明を求められてもなかなかちゃんと分かっていただけない事が多いのです。
そこで、最近では展示スペースが許せば、こういった試し刷りも展示したりしています。
そうすれば、工程の一端は分かっていただけるようです。

「生物の成長」って、面白い表現ですね!
なんだかピッタリな気がします。

by 高田美苗 (2008-05-21 05:27) 

瑠璃

したこともなく、やっている過程を見たこともないので興味津々です!!!
時間のかかる作業ですが楽しそうです(^^)。なぜか高校時代の選択科目だった美術の授業を思い出してしまいました。時間をかけて一生懸命作品を仕上げる喜びとか、楽しかったことをです。(素人レベルの低いお話ですけど(^^;)

もちろん私も下絵を描く時点で行き詰まってしまうためダメダメです。個人の趣味レベルで絵を描いて色を塗って・・・と楽しみたくてもそれさえ描く事が困難で難しいです。(発想も描く技術ももってないので)
専門的に美術を勉強したことないですから(笑)。以前どこかで聞いたような気がするのですが絵を描くためにはまずデッサンが基本なのでしょうか?
趣味で絵を描く勉強もしてみたいですがやるなら何からすればいいのかわかりません。

また蔵書票ができましたね♪とっても素敵~☆
by 瑠璃 (2008-05-22 09:42) 

高田美苗

>瑠璃さん
有り難うございます!
銅版画は、腐蝕という魔法のおかげで、どなたがやってもそれなりに面白い作品になってしまいます。

絵を描くのに、デッサン力があるにこしたことは有りませんが、あまり「デッサンから始めないと……」と構えると、描く気持ちや楽しさが無くなってしまうと思います。
気楽に、描きたいものを描きたいようにするのが一番かと思います。
私も、実は、「描きたいものを描きたいように描いているだけ」なのです。
趣味であれば、好きな絵の真似からはいっても良いのではないかと思います。
by 高田美苗 (2008-05-22 11:16) 

瑠璃

「描きたいものを描きたいようにする」なんですね(^^)。
確かに今の私は描いていて楽しいと思えないと途中ですぐ断念してしまいそうです。時間がかかっても描きたいものを描きたいかな(笑)。

>私も、実は、「描きたいものを描きたいように描いているだけ」なのです。
思い描いたものをものの見事に形にできる、さすがはプロの成せる業ですね☆ (って、それで生活していらっしゃるのだから当たり前~(^-^;))

>趣味であれば、好きな絵の真似からはいっても良いのではないかと思います。
これは昔々(???)のお話デス・・・
「美苗さんの絵が好き~~~♪でも難しくてとても模写できない~~~っ!」(←これ当時学生時代の私が思ったことです・苦笑)
好きな絵で描けそうなものを模写したことは何度かあるけれど、美苗さんの絵だけは本当に難しくてできなかったです。特に作品「石の庭」に出会ったときは、本気で「これ模写できないかな?」と思いました。が、高度すぎて諦めたのを思い出しちゃいました。(^▽^;;;;;
by 瑠璃 (2008-05-23 15:29) 

月城水愛

うわぁ・・・すごく綺麗ですね~♪
製作過程をみていると
なんだか挑戦してみたくなってしまします(*^-^*)
by 月城水愛 (2008-05-24 19:59) 

高田美苗

>瑠璃さん
「“石の庭”ってどんな絵だったかな?」と考えましたが『ナルニア国ものがたり』をテーマにした絵でしたね〜。
気に入ってくださって有り難うございます。

>月城水愛さん
どうぞ、挑戦してみてください!
楽しいですよ〜♪
by 高田美苗 (2008-05-25 09:45) 

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